第19話「シヴュラ」

 シムーンで飛び立つアーエルとユン。ワポーリフ「シヴュラ・アーエルが聞く耳をお持ちな訳ないか・・・」「私もあんな一途な思いが持てたら・・・」
 ヴューラともう一人のシヴュラは、テンペストと入れ替わりにメッシスに乗り込み、偵察任務をこなしていた。
 マミーナを気にして様子を見に来たロードレアモンが、マミーナの髪が緩んでいるのを見つけ、直してあげる。嶺国が持ち出したシムーンが空中補給基地にいるのかと不安げなロードレアモンに、マミーナは、あなたのパルのモリナスは優秀なアウリーガだから大丈夫だと言ってあげる。「それでももし、なにかあったら私が守ってあげる。」今回は偵察任務だから戦わないですむのなら、それにこしたことない、と二人の意見は一致する。
 作戦の詳細の確認の最中、言い争いになりかけるアルティとフロエに対して、マミーナ「仲良くしよ。みんなここで同じ鍋の飯を食べた仲じゃないの〜。」ロードレアモン「だめ、マミーナ!」モリナス「変わったわね、マミーナ。ところで何がだめなの?ロードレ。」ロードレアモンは言い難そうに、「ねずみ・・・」モリナス「ん?」
 4機のシムーンが散開地点でネヴィリル・マミーナ、アルティ・フロエ組と、パライエッタ・カイム、モリナス・ロードレアモン組に分かれて空中補給基地を捜索する。
 「シヴュラ・ドミヌーラが仰っていた通り、中央は何も分かってない。」ワウフは不満をもらすと共に、ヴューラ達を休ませる。
 アングラスの葬儀にマミーナを参加させなかった宮国はひどい、とネヴィリルが言うと、マミーナは「いいえ、シヴュラアウレア。状況が逼迫すればするほど、人々は決まり事の安心感にすがろうとするものです。」ネヴィリルは、やはりマミーナが変わったと話す。ネヴィリル組が空中補給基地を発見する。古代シムーンがあるかどうか確認してから戻るということになる。
 パライエッタ組が哨戒空域を過ぎようとしていることに対して、モリナスが「そろそろ、レギーナとの接触空域に向かった方がよくない?」と提案するが、パライエッタは前日のネヴィリルとの事を思い出すなどうわの空で、「もう少しこの辺りを調べよう。」と言い出す。同意するロードレアモン。
 アーエルとユンの乗ったシムーンがメッシスに追いつく。ヴューラがメッシスに乗り込んでいる事に驚く二人だが、ワウフ艦長から他のシムーンの向かった先が告げられると急いで向かうアーエルとユン。ワウフも艦の全発動力を駆動にまわすなど、全力で追いかける。
 カイムに促され、パライエッタはやっとのことで、レギーナとの接触空域に向かうことを決断する。



 空中補給基地から飛び立つ多数の礁国飛行機械と2機の古代シムーン。ネヴィリル組が見つかってしまった!全力で離脱することを告げるネヴィリル。
 パライエッタ組に追いついたアーエルとユンは、追い抜き、接触空域に向かう。パライエッタ組も先を急ぐことにする。
 波濤のリ・マージョンに続き、鮫のリ・マージョンを描くネヴィリル・マミーナ機。礁国飛行機械は落とせても、古代シムーンは落とせない。「振り切れない。」「こいつら速いよ。」アルティ・フロエ機は礁国機に苦戦している。合流し上昇しながら指示を出すネヴィリル。ネヴィリルの指示が「逃げろ」ということを読み取るフロエ。アルティは戸惑う。「早くネヴィリルの言うこと聞いたほうがいいよ。このままじゃ2機ともやられちゃう。早く戻ってみんなを!」とフロエ。アルティ・フロエ機は執拗に礁国機に追われるが、それをネヴィリル・マミーナ機がリ・マージョンで落とす。フロエ「待ってて。すぐ戻ってくるから!」
 古代シムーンリ・マージョンから逃げたネヴィリル・マミーナ機だったが、礁国機に追われ、被弾し、空中補給基地に不時着する。
 マミーナはサジッタ席から飛び降り、ネヴィリルの様子を見にいく。ネヴィリルは額から血を流している。2機の古代シムーンが近くに着艦し、4人の嶺国巫女が銃を持って駆け寄ってくる。「シヴュラアウレア、ご安心を。私が必ず。」と言った後、マミーナはネヴィリルと4人の嶺国巫女の間に立ちふさがる。「あなた方に私の言葉が分かるのなら聞きなさい。私はどうせこんな所で死んでいく名も無い只のシヴュラ。命など惜しくない。しかし、私の後にいらっしゃるのは、我がシムラークルム宮国最高のシヴュラ、シヴュラアウレア・ネヴィリル。絶対ここから助け出し、あなた達には指一本触れさせない!」しかし、それに応える嶺国巫女のセリフは意外なものだった。
 「いえ、後の方もあなたも最高のシヴュラです。」「あなた方シムラークルム宮国のシヴュラは神に最も近いところにいらっしゃる巫女。我がプルンブム嶺国でも最高の敬意の対象です。」「我々もあなた方との戦いを好むものではありません。」「傷ついたシヴュラを捕まえることは我々の本意ではない。」「私達はプルンブム嶺国の巫女。この船に乗り込む礁国の兵士とは違います。」「先程までの戦いは既に終わりました。戦うべき時は過ぎ去ったのです。」「私達を信じてください。あなた方を捕まえるつもりなら、こんな手の込んだ事をする必要はありません。」それを聞いていたネヴィリルが言う。「その方達の言葉に偽りはありません。」
 礁国兵士が近づいてくる。嶺国巫女に促され、マミーナと嶺国巫女はシムーン球を起動させる。シムーンがゆっくりと動き始める。その時、マミーナが気付く、「そういうことなのね。ここで私達を逃がせば、あなた達の居場所がなくなる。」嶺国巫女「いえ、捕まればあなた達は確実に殺される。」
 4人の嶺国巫女がシムーンから落とされる。マミーナ「あなた方は私を本当のシヴュラだと認めてくれた。私を逃がせばあなた達が裏切り者として殺される。」マミーナはリボンを解き、ナイフで片方の三つ編を切り落とすと、ネヴィリルを見つめ、お別れを言う。「さよなら、シヴュラアウレア。」
 シムーンから飛び降り空中補給基地に掴まるマミーナを、嶺国巫女が引き上げる。嶺国巫女「なんということを。」
 すぐ側まで礁国兵士が近づいている。嶺国巫女「あなたがあの者達の手ににかかって命を落とすくらいなら、いっそ・・・」マミーナ「これでいいのよ。これで。・・・あなた達の国の言葉、アー、エール。」4人の巫女が続いて叫ぶ。「アーーエーーーッル。」鳴り響く銃声。
 メッシスが空中補給基地を発見。戦闘配備をしいて近づく。
 マミーナの姿を見つけたテンペストのメンバー。慟哭するアーエル。他のメンバーも目の前の光景を受け入れる事ができない。
 空中補給基地に突っ込むメッシス。ワウフ艦長「巫女様たちを援護するぞ!」テンペストシムーンが機銃を掃射で礁国兵士を蹴散らし、メッシスが援護で礁国機を打ち落とす。 メッシスが碇をおろし、空中補給基地に降り立つ。ヴューラ達が急いでマミーナをメッシスに運び込む。泣いているロードレアモン。冷静さを失ったアーエルにユンが叫ぶ「ここを離れるぞ。逃げるんだ。こんな所でいつまでもグズグズしているわけにはいかない!」
 浮上するメッシス。礁国機が数機追いかけてくるが、シムーンリ・マージョンで落とす。
 メッシスの中では、マミーナの救急治療が行われている。給仕係のおばさんがマミーナのベッドで泣いている。






書いていて、泣けてきた。